メインコンテンツへスキップ
Mordax DATA 解説 EP.3: 波形ジェネレーター / クロック出力 / ボルテージモニター

ガイド: Mordax DATA 解説 EP.3: 波形ジェネレーター / クロック出力 / ボルテージモニター

著者: Takazudo | 作成: 2026/08/05 | 更新: 2026/08/17

Mordax DATAの解説シリーズ EP.3です。EP.1・EP.2では電圧を計測・可視化するプログラムを扱いました。今回はDATAの「信号を生成する側」のプログラム——波形ジェネレーター、クロック出力、ボルテージモニターを解説します。

DATAは計測ツールであると同時に、オシレーターやクロック、CV/Gateを出力するソースとしても機能します。これらを使えば、1台で信号の生成とモニタリングの両方をまかなえます。

Takazudo Modularではマニュアル等の日本語訳付きを作成し、公開しています。以下よりご参照下さい。

この記事のデモ動画は2015年に公開されたもので、DATAの製品版ファームウェアが出る前のプロトタイプ版です。とくにクロック出力は製品版で大きく作り直されています。現行ファームウェア(SYS V01.02.05)で変わった点と、動画では触れられていない仕様を補足します。

  • ウェーブシェイピング(MODE > SHAPE): 現行ファームウェアには、MODEポップアップメニューのSHAPEセクションから選択するCLIPFOLDの2つのウェーブシェイピングモードがあります。CLIPは波形が±5Vの限界を超えた部分をクリップ(フラットな電圧で表示)し、FOLDはその部分を負方向に折り返します。FOLDモードを選ぶとAMPコントロールがFOLDに変わり、OFFSETが0%のときFOLD値50%では波形が変化せず、100%で最初の折り返しが発生します。本記事はクリッピングをAMPのゲインによる副次的な効果としてしか扱っておらず、FOLD(ウェーブフォールディング)には触れていません(マニュアルp.22〜24)。

  • AMPとOFFSETはパーセンテージ: 本記事では電圧として説明していますが、AMPは10Vピーク・ツー・ピークに対するパーセンテージ(100% = 10Vpp = ±5V)、OFFSETはセンター電圧のゲイン増減をパーセンテージ(25% = 2.5Vセンター)で表します(マニュアルp.22)。

  • AMPの範囲は±200%で、負の値では波形が反転: 本記事はAMPについてアッテネートとゲインの追加にしか触れていませんが、設定範囲は-200%〜200%で、負の値では波形が反転します(SAWからRAMPなど)。またこのゲインステージはVCAの前段にあるため、クリッピングされた波形はVCAコントロール下でも形状を維持します(マニュアルp.22)。

  • DIV/MULTの係数は32種類で、付点や3連符に相当する小数値も選べる: 本記事のDIV/MULTの解説は整数の例のみですが、現行ファームウェアではdiv/mult係数が32種類あり、x5.3(付点32分音符)のような小数値も選択できます(マニュアルp.25、p.28)。

  • クロックのCVソースは入力ジャック3・4に限定: 任意のクロック出力チャンネルのdiv/multとoffsetに、入力ジャック3または4をCVモジュレーションソースとして割り当てられます。ATTNカラムによりモジュレーション先ごとに独立したアッテネーションが可能で、入力範囲は±5V(10Vpp)です(マニュアルp.25〜26)。

  • INPUT1・INPUT2の機能とクロック出力の電圧: 内部マスターモードではINPUT1がRUN/STOPをトグルするGate入力、外部シンクモードではINPUT1が外部クロック入力(16分音符のパルス、0〜5V)になります。INPUT2はどちらのモードでもRESETのGate入力です。クロック出力は5Vピーク・ツー・ピーク(0V〜+5V)です(マニュアルp.25〜26)。

  • ボルテージモニターの補足: 2Hzを超える周波数で繰り返す信号には表示エイリアシングが発生します。Gate出力の高電圧・低電圧(G-HI / G-LOW)はOUTPUTポップアップメニューで設定でき、CV出力の電圧を設定する際はエンコーダーを押しながらスクロールすると1Vずつの粗調整になります(マニュアルp.27)。

波形ジェネレーター

波形ジェネレーターは、2系統の高精度な波形ジェネレーターを提供するプログラムです。各ジェネレーターはLFOなどのモジュレーションソースとしても、オーディオレートのオシレーターとしても使え、8オクターブにわたる1V/オクターブのCVピッチトラッキングに対応しています。

振幅とオフセット

各ジェネレーターの波形は、AMP(振幅)とOFFSET(センター電圧)でシェイピングできます。デモ動画では、+5V〜-5Vのサイン波の振幅を半分にスケールして5Vピーク・ツー・ピークの波形にし、さらにオフセットを動かして2.5Vを中心とする0V〜+5Vの信号を作っています。この形は、波形をCVソース(LFOなど)として使う際に便利です。

AMPで振幅をスケールし、OFFSETでセンター電圧を動かす。2.5V中心の0〜5V信号はCVソースとして使いやすい

波形タイプ

初期波形としてSINE(サイン)、SQR(スクエア)、SAW(のこぎり)、TRI(トライアングル)の4種類から選べます。

AMPコントロールはアッテネートだけでなくゲインを加えることもでき、ゲインを上げて波形が±5Vの限界を超えるとクリッピングが発生して波形の形そのものが変化します。デモ動画では、のこぎり波にゲインをかけて台形(トラペゾイド)に変化させています。

AMPでゲインを加えると波形がクリップし、のこぎり波が台形に変化する

フェーズと位相キャンセル

PHASEは波形サイクルの開始点を設定します。デモ動画では、2つのジェネレーターを同じ周波数・同じ位相でスタートさせ、その合成信号をスコープのチャンネル3に表示しています。オシレーター1の位相を変化させると2つの波形が分離し、位相が打ち消し合うことで合成信号の振幅が変化していく様子が確認できます。

2つのジェネレーターの位相をずらすと、位相キャンセルによって合成信号の振幅が変化する

周波数とノートモード

周波数は、表示されている周波数値の任意の桁を選んでスクロールすることで、素早く正確に設定できます。また、MODETUNE設定で周波数の表示を小数点表示の周波数とノート(音名)値で切り替えられます。ノートモードにすると、スクロール操作で半音単位で動き、音名と周波数が表示されます。

ベース周波数の設定範囲は手動入力で0.01Hz〜9,999.99Hz、CV入力では0.01Hz〜4,200.00Hzです。

ノートモードでは半音単位で周波数を設定でき、音名と周波数が表示される

CVコントロールとDVCA

各ジェネレーターの周波数と振幅は、4つの入力ジャックのいずれかからCVコントロールできます。振幅へのCVコントロールは、実質的にデジタルVCA(DVCA)として機能します。

デモ動画では、Make Noise MathsのADエンベロープ(CV2)でオシレーター1のDVCAを制御し、さらにAudio Damage Sequencer 1のピッチ出力(CV1)でオシレーター1の周波数を制御しています。周波数のCVソースをCV2に切り替えると、1つのMaths ADエンベロープがピッチと振幅の両方を制御する状態になります。

周波数と振幅をそれぞれ別のCV入力でコントロールできる。振幅へのCVはデジタルVCA(DVCA)として働く

クロック出力

クロック出力プログラムは、内部マスタークロックで駆動するか、外部クロックソースに同期して動作する、CVコントロール対応のクロックトリガー出力を提供します。現在のファームウェアでは4系統の出力に対応しています。各出力のレートはマスタークロックの分割・逓倍(DIV/MULT)の倍数として設定でき、ソースクロックから±96ティック(4分音符1つ分)の範囲でオフセットを加えられます。

内部マスターと外部シンク

クロックは内部で生成するか、外部クロック信号に高い精度で同期させられます。外部シンクモードでは、入力されるクロック信号の1拍あたりのパルス数(PPQN)を画面上部に表示します。現行ファームウェアでは、この値はPPQN = 4(16分音符)に固定されています。DATAが外部クロックにロックするとBPMが表示され、その下にクロックパルスの周波数と周期も表示されます。

なお、デモ動画のプロトタイプ画面では、画面中央にカラーバーが表示され、1小節あたりのクロックパルスを示しています。一番上のバーが入力クロックの解像度、それ以外のバーがDIV/MULT値とオフセットに応じて変化するDATAのクロック出力の解像度です。現行ファームウェアのクロック画面はCLOCK1〜CLOCK4の数値表示が中心で、このカラーバーはありません。

外部シンクモードでは、入力クロックのPPQNとロック後のBPMを表示。動画のプロトタイプ画面では、中央の3本のバーが1小節あたりのパルスを示している

DIV/MULTとオフセット

DIV/MLTはベースクロック周波数の分割・逓倍を設定します。1:1で4分音符、x4で16分音符(PPQN 4)といった具合に出力レートが決まります。OFFSETはベースクロックから±96ティック(4分音符1つ分)の範囲でクロック出力をシフトします。

デモ動画では、Audio Damage Sequencer 1に外部シンクしたクロックで複雑なパッチを駆動しています。DIV/MULTを変更してもクロック1のシーケンサーの小節内での相対位置が保たれること、シーケンサーをスタート・ストップしてもその位置が維持されること、そしてオフセットでビートをシフトできることが示されています。

DIV/MULTを変更してもクロックの小節内での相対位置は保たれる。オフセットでビートを前後にシフトできる

ボルテージモニター

ボルテージモニタープログラムは、時間表示付きの4チャンネル電圧計と、4つの出力チャンネルを備えています。デモ動画の収録時点では開発中のプログラムとして紹介されていますが、現在は正式な機能として搭載されています。

4つの入力ジャックの電圧レベルを簡易的なスコープのように表示し、現在の電圧は各チャンネルのヘッダーに数値で表示されます。約12秒分の入力情報が表示され、太い点線のセンターラインが0V、2本の細い点線が±5Vを表します。この表示は、LFOやシーケンサー、手動のCV/Gateコントロールなど、定常または緩やかに変化する信号のモニタリング向けに設計されています。

4チャンネルの入力電圧を簡易スコープのように表示。各チャンネルのヘッダーに現在の電圧が数値で表示される

CV / Gate出力

画面下部には電圧出力のコントロールがあります。出力チャンネルは、一定のDC電圧(CV)、瞬時的なGate(GATE-MO)、ラッチ式のGate(GATE-LA)のいずれかに設定できます。出力レンジは-5V〜+10Vです。

デモ動画では、Gateボタンを押すことでクロック出力からモーメンタリーなパルスを送ったり、ユーザー定義のCV出力電圧を波形出力から送り出したりしています。さらに、ボルテージモニターのGate出力でメインオーディオのエフェクトをオン・オフし、2系統のCV出力で別モジュールのパラメーターを変調する、といった応用が示されています。

ボルテージモニターのGate出力でエフェクトをオン・オフし、CV出力で別モジュールのパラメーターを変調する

出力を持つほとんどのDATAのプログラムは終了時に0Vにリセットされますが、ボルテージモニターはその例外です。ボルテージモニターで設定したCV電圧は、チューナーやオシロスコープ、スペクトラム系プログラムへ移っても維持されるため、固定電圧を出力しながら別のプログラムで計測する、といった使い方ができます。

EP.3はここまでです。今回はDATAの信号生成プログラムとして、波形ジェネレーター、クロック出力、ボルテージモニターの解説でした。これでDATAに搭載された主要なプログラムをひととおり扱ったことになります。計測・可視化から信号生成まで、1台で電圧を「見る」「測る」「作る」をカバーできるのがDATAの特徴です。

なお、本記事で参照しているデモ動画はMordax Systems公式のデモ動画です。実際の画面の動きや音はぜひ動画でご確認ください。

Mordax DATA 商品詳細

Mordax DATAの商品詳細は以下よりご覧いただけます。

Series / このシリーズを読む